高位脛骨骨切り術(HTO手術)について

膝の痛みの原因には、膝の内側の軟骨が変性、摩耗し、徐々にO脚(内反変形)となり、膝関節の内側に痛みを訴える「変形性膝関節症」や、膝関節に接している大腿骨の先端(大腿骨顆部)の組織が壊死する「大腿骨顆部骨壊死」などがあります。

高位脛骨骨切り術
(HTO手術)

O脚変形のために内側(内側大腿―脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切り、少し角度を変えることにより、比較的きれいな軟骨の存在する外側(外側大腿―脛骨関節)に移動させる手術です。脚の形はO脚からX脚に変わります。患者さんの膝が温存できますので、正座が引き続き可能であったり、スポーツや農業などの仕事へ復帰された患者さんが多くいます。一方で、骨が癒合するまで痛みが多少続くこと、機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。最近ではOpen Wedge HTOという方法が増えております。

高位脛骨骨切り術
(HTO手術)の種類

種類 その1

Open Wedge HTOとは

脛骨の内側から外に向かって骨を切り、内側を開いて矯正する方法です。侵襲や合併症が少なく近年この方法を施行する施設が増えております。一方、矯正の角度に限度があります。

  • 手術方法

    • 関節鏡にて関節内を観察します。必要があれば不要な骨や組織を取り除きます。
    • 皮膚を切開し、骨切りを行う脛骨を露出します。周りの靭帯などを骨と剥がす作業も行います。
    • 脛骨の骨切りを予定した角度に開いて行います。
    • 術中にレントゲンにて角度を確認し、人工骨挿入と金属のプレートやスクリューで固定します。
    • 十分洗浄し、切開した部分を縫合します。
  • 特徴

    • 自分の関節は温存され機能は維持される。
    • 日常生活に制限がなく、スポーツ活動も可能となる。
    • 痛みは極めて良く改善される。
    • 手術1週後より歩行訓練を開始、3週間程度の入院で歩いて退院できる。
    • 消失した軟骨が再生する症例もある。
    • 矯正に使用する人工骨(ß-TCP)は2~3年程度で自分の骨に置換される。
    • 60%程度の方が手術後正座可能となる。
    • 体に及ぼす影響(侵襲)が少ない。
    • 骨が癒合するまで痛みが多少続く。機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要。

種類 その2

Hybrid Closed Wedge
HTOとは

脛骨の外側から骨を楔状に切り、短縮させて矯正する方法です。変形が強く矯正の角度が大きい方でも対処可能ですが、Open Wedge HTOに比べ、多少侵襲が大きくなります。

  • 手術方法

    脛骨の外側から骨を楔状に切り、外側を短縮させて矯正する方法です。楔の頂点が内側からやや外側にある為、内側は開大します。変形が強く矯正の角度が大きい方やPF関節症を合併した方でも対処可能ですが、Open Wedge HTOに比べ、多少侵襲が大きくなります。

  • 特徴

    • 矯正する角度が大きい場合や膝蓋・大腿関節症(PF関節症)を合併する場合などに適用されます。
    • 外側から骨を切り、楔状に骨を取り除き矯正します。内側は逆に開大します。
    • 腓骨の一部切除が必要です。
    • 脛骨近位部外側より楔状に骨を切り取りますが、切り取る量は従来の方法に比べて少ないために脚の長さはほとんど変わりません。

監修:竹内 良平 先生(さいわい鶴見病院 関節外科センター センター長)

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