ひざの痛みと治療方法 -高位脛骨骨切り術とは-

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高位脛骨骨切り術
(HTO手術)について

O脚変形のために内側(内側大腿―脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切り、少し角度を変えることにより、比較的きれいな軟骨の存在する外側(外側大腿―脛骨関節)に移動させる手術です。脚の形はO脚からX脚に変わります。患者さんのひざが温存できますので、正座が引き続き可能であったり、スポーツや農業などの仕事へ復帰された患者さんが多くいます。一方で、骨が癒合するまで痛みが多少続くこと、機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。
最近ではOpen Wedge HTOという方法が増えております。

手術前・Open Wedge HTO術後3年4ヶ月
画像提供:近藤 英司 先生
(北海道大学病院スポーツ医学診療センター 教授)

高位脛骨骨切り術
(HTO手術)の種類

オープン ウェッジ エイチティーオー
Open Wedge HTO

脛骨の内側から外に向かって骨を切り、内側を開いて矯正する方法です。侵襲や合併症が少なく近年この方法を施行する施設が増えております。一方、矯正の角度に限度があります。

ハイブリッド クローズド ウェッジ エイチティーオー
Hybrid Closed Wedge HTO

脛骨の外側から骨を楔状に切り、短縮させて矯正する方法です。変形が強く矯正の角度が大きい方でも対処可能ですが、Open Wedge HTOに比べ、多少侵襲が大きくなります。

Open Wedge HTOの特徴

  • 自分の関節は温存され機能は維持される。
  • 日常生活に制限がなく、スポーツ活動も可能となる。
  • 痛みは極めて良く改善される。
  • 手術1週後より歩行訓練を開始、3週間程度の入院で歩いて退院できる。
  • 消失した軟骨が再生する症例もある。
  • 矯正に使用する人工骨(ß-TCP)は2~3年程度で自分の骨に置換される。
  • 60%程度の方が手術後正座可能となる。
  • 体に及ぼす影響(侵襲)が少ない。
  • 骨が癒合するまで痛みが多少続く。機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要。

手術イメージ

手術前/O脚・手術後/X脚
術直後・術後3年4ヶ月
画像提供:近藤 英司 先生
(北海道大学病院スポーツ医学診療センター 教授)

Open Wedge HTO手術とは

  1. 関節鏡にて関節内を観察します。
    必要があれば不要な骨や組織を取り除きます。
  2. 皮膚を切開し、骨切りを行う脛骨を露出します。
    周りの靭帯などを骨と剥がす作業も行います。
  3. 脛骨の骨切りを予定した角度に開いて行います。
  4. 術中にレントゲンにて角度を確認し、人工骨挿入と金属のプレートやスクリューで固定します。
  5. 十分洗浄し、切開した部分を縫合します。

Hybrid Closed Wedge HTO手術とは

  • 矯正する角度が大きい場合や膝蓋・大腿関節症(PF関節症)を合併する場合などに適用されます。
  • 外側から骨を切り、楔状に骨を取り除き矯正します。内側は逆に開大します。
  • 腓骨の一部切除が必要です。
  • 脛骨近位部外側より楔状に骨を切り取りますが、切り取る量は従来の方法に比べて少ないために脚の長さはほとんど変わりません。

脛骨の外側から骨を楔状に切り、外側を短縮させて矯正する方法です。楔の頂点が内側からやや外側にある為、内側は開大します。
変形が強く矯正の角度が大きい方やPF関節症を合併した方でも対処可能ですが、Open Wedge HTOに比べ、多少侵襲が大きくなります。

術前・術後

監修:竹内 良平 先生(さいわい鶴見病院 関節外科センター センター長)